株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ニュージーランド・タウポ(※1)においてTuaropaki Trust(トゥアロパキ・トラスト)(※2)と共に建設を進めてきた、同国初のメガワット級グリーン水素製造プラントの開所式を開催し、製造されるグリーン水素の試験販売を開始します。
左から、Tuaropaki Trust CEO Steve Murray(トゥアロパキ・トラスト スティーブ・マリー CEO)、NZ Minister of Energy and Resources Megan Woods(ニュージーランド ミーガン・ウッズ エネルギー・資源大臣、Tuaropaki Trust Chair Gina Ranqi(トゥアロパキ・トラスト ジーナ・ランギ 議長)、在ニュージーランド日本国大使館 伊藤康一 大使
ニュージーランドでは、政府が電力の再生可能エネルギー比率を現状の85%から2030年には100%にする政策を掲げ、その一環として水素の利活用が積極的に推進されています。大林組は2014年頃からニュージーランドの再生可能エネルギーの将来性に着目し、2018年には同国にて有数の地熱発電所を所有するTuaropaki Trustと共同で、地熱発電を利用したグリーン水素の製造プラントの建設に着手しました。2021年3月のプラント完成以降、試運転や水素品質の確認、実証に係る体制整備などが完了したため、12月9日に試験販売開始に向けた開所式を開催しました。
グリーン水素製造プラント
ニュージーランド ミーガン・ウッズ エネルギー・資源大臣のコメント
このグリーン水素製造プラントにより水素の海外輸出も可能になるので、プラントの開所はトゥアロパキ・トラストとHalcyon Power Ltd.(ハルシオンパワー)(※3)にとってだけでなく、ニュージーランドの水素産業界にとっても、重要かつ心躍らされる画期的な出来事となりました。世界が今後カーボンニュートラルな未来を実現させる取り組みを進める中で、このようなプラントの存在により、ニュージーランドが世界のリーダーとなり、脱炭素の推進役となることもできると思います。
在ニュージーランド日本国大使館 伊藤康一大使のコメント
水素製造や輸送が経済的に成立するかを検証するこのプロジェクトは、ニュージーランドの経済や生活をよりサステナブルにするだけでなく、ニュージーランドと日本にとどまらない世界中に広がる影響力を持っています。(日本とニュージーランドは水素と再生可能エネルギーに関する協力関係にあり)本日の開所式が、さらに両国の協力関係を強めることを期待しています。
水素製造プラントは、トゥアロパキ・トラストグループが所有、運営する地熱発電所の敷地内に建設され、地熱発電所から直接受電した再生可能エネルギー100%の電力によってグリーン水素を年間100t(燃料電池自動車の燃料換算で1000台分に相当(※4))製造できます。
水素燃料電池車への供給
大林組とTuaropaki Trustの2社は、共同で設立した事業会社ハルシオンパワーを通じてグリーン水素サプライチェーンの実証事業に取り組んでいます。今般、製造や運搬にかかるコストを踏まえた価格設定とその社会受容性を確認するため、プラントで製造したグリーン水素の試験販売を開始します。販売したグリーン水素は、公共交通機関や物流施設などの車両用燃料、化学薬品工場の原材料といった産業用途で活用される予定です。
今回の試験販売開始により、実証フェーズは水素を「つくる」から「つくる・とどける」に移行します。ニュージーランドの水素社会化を加速するため、意欲的な水素価格の実現に向けて実証を進めていきます。加えて、水素ステーションなどの社会インフラの整備促進に必要な技術開発と商品化を、本実証に賛同する企業との連携を強化しつつ推進していきます。
※1 タウポ
ニュージーランドの北島北部の最大商都オークランドと北島最南端の首都ウェリントンの中間に位置する都市。地熱発電が盛んで、大規模な地熱発電所が多数存在する
※2 Tuaropaki Trust
ニュージーランドの先住民マオリの地権者をオーナーとする信託組織。同信託組織は、持続可能な資源利用を重視した国内有数規模の地熱発電所を開発し、これまで19年間にわたり安定的に運転してきた。同発電所から得られた地熱電力、蒸気、排熱は、近隣の乳製品加工や温室栽培などのアグリビジネスにも活用されている
※3 Halcyon Power Ltd.
グリーン水素サプライチェーンの成立可能性を検証するため、大林組とトゥアロパキ・トラストが共同出資し設立した現地法人。 グリーン水素の製造だけでなく、輸送から消費までのサプライチェーン全体を構築し、各段階での技術的、制度的課題とともにコストや社会受容性の把握を通じて、グリーン水素の普及拡大を目的としている
※4 年間100tの水素を製造
燃料電池自動車(FCV)は水素1kgでおよそ100kmの走行が可能とされる。FCV1台が1年間に10,000km走行すると想定すると、1,000台分の年間の燃料が賄える製造量となる
※プレスリリースに記載している情報は、発表時のものです。
参照元:PRESS CUBE